曲がれ!スプーン レビュー 名作戯曲の映画化 密室コメディ

今回は「曲がれ!スプーン」という映画のざっくりレビューです。この映画はヨーロッパ企画という劇団の作品を踊る大捜査線シリーズでおなじみの本広克行監督が映画化したものです。元々舞台劇を映画にしたものなので設定やシチュエーションが特殊であり、よくレビューでは辛口で書かれたりしていますが個人的には面白かったです。

スタッフ・キャスト

【スタッフ】
監督:本広克行
原作・脚本:上田 誠(ヨーロッパ企画)
音楽:菅野祐悟

【キャスト】
長澤まさみ

三宅弘城
諏訪 雅
中川晴樹
辻 修
川島潤哉
岩井秀人

寺島 進
松重 豊
甲本雅裕
三代目魚武濱田成夫
ユースケ・サンタマリア(友情出演)
升 毅(友情出演)
佐々木蔵之介(友情出演)

平田 満
木場勝己
志賀廣太郎

さえない超能力者

ストーリーは超常現象バラエティ番組のAD・桜井米(長澤まさみ)が番組企画でエスパー探しをしており、紆余曲折あって“カフェ・ド・念力”という喫茶店にたどり着く。その喫茶店は1年に1度クリスマスイブに本物のエスパー達が集まりそれぞれの能力を披露しあっているのだが偶然そこに出くわしてからメインストーリーが始まる。

まずそこにいる超能力者の能力がそんなに大してことなくて笑える。ボケと突っ込みの入り混じる複数人の会話形式の喜劇が繰り広げられる。ネット上で叩いている人はこの辺のやり取りに”退屈” ”地味” ”笑えない”など書いている方が多かった。もしかしたらこの作品をマーベル映画を観るような気持ちで観ていたのかもしれない。それなら致し方ない。まず観方が違うのだ。やはり舞台をみるような感覚で見る必要がある。そして爆発的なコメディでもなく脱力系のコメディとして観る。そうすると作り手が表現したいことが受け取れ、クスっと笑えるはずだ。あくまでもクスっとです。それくらいの熱量で観てほしい。

本質は密室喜劇

上でも書きましたがこの映画の本質は密室で繰り広げられる喜劇です。客席から喫茶店の舞台セット上でコミカルな演劇を見る感覚。限られたスペースで、限られた人数で、いかに面白おかしく話を展開していくかが見どころで、次どう来るか、何を言うか、そうやって観ていると実におもしろい。

さきほど脱力コメディと表現しましたが何故かというと、この映画超能力者が何人も登場するのに特に何も起きないからです。普通映画で超能力者が出てくれば大体は敵がいて戦ったり、世界の平和を守ったり、とにかくスケールのでかい事件が起こるのが常ですが、そういうのは一切ありません。ほのぼのとした気持ちで眺め、クスっと笑って、最後少しだけほっこりする。それがこの映画の正しい鑑賞法だと個人的には思います。

映画の見方

あくまで個人的な感覚ですが映画には色々な見方があります。一つの角度からではなく色々な角度から見ることで様々なメッセージを受け取ったり、逆に作り手が意図していない面白い部分を発見出来たりなど楽しみ方が増えます。一つの正解だけを頭において観ると、すぐに駄作と言い切ってしまいがちですが、多様な角度から見る癖がついていると、多くの人が駄作と呼ぶものでもなかなか面白く見れてしまうのです。海外のB級あるいはC級ホラーなんかが結構そんな感じです。滅茶苦茶すぎて1周回って笑えたりします。(それでも駄作と思う作品もたくさんありますが)

少し話がそれましたがそんな風にこの映画も僕には悪くないものでした。

まとめ

激しく盛り上がりもせず、爆笑もしなくても、たんたんとコミカルに進むストーリー。少しクスっと笑って、最後は少しほっこりした気持ちになって幕を閉じていく。0か100かばかりを求めずに、アイドリングの静かな回転数でゆっくり進む映画もまたいいでしょう。”そういうもの”として新たな目線で観てみるとまた違った楽しみ方を発見できるかもしれません。興味のある方はお暇なときご覧になってみてはいかかでしょうか。

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