今回は尾西食品のアルファ米の紹介です。昨今ではアウトドアでの食料や一般的な保存食としても認知度が高まってきたこの製品ですが、ネット上では一部のユーザーから「まずい」「食べれたもんじゃない」など痛烈な不評の声を目にします。なので今回は僕が普段やっている「失敗しないアルファ米の戻し方」について書いてみたいと思います。
目次
アルファ米とは
作り方の前にまずは「アルファ米とは何ぞや?」ということについて説明したいと思います。
アルファ米とは、まず生米を炊飯し、炊きあがったご飯を再度乾燥させたものです。
生米に含まれる「生デンプン」は食べることはできますが不味いうえに消火にも悪いためそのままではさすがに厳しいです。そこで炊飯という加工を施すことで水と熱の作用により「生デンプン」を「アルファ化デンプン」というものに変化させるのです。「アルファ化デンプン」は消化にもよく味もおいしいため食品として最適な状態です。
このアルファ化したご飯はそのまま水分を除いて乾燥させると、生デンプンへ戻ることなくアルファ化した状態を保つ性質があります。アルファ米とはまさにその状態であるため、お湯や水を加えると炊飯をしなくても柔らかい「アルファ化デンプン」状態のご飯が出来上がるということです。
概要
これは尾西食品のアルファ米シリーズの一つ、「五目ごはん」です。個人的にはこれがお気に入りです。(アルファ米はこれを入れて15種類、他にもおにぎりや麺類、パンなど尾西食品では多数のラインナップがあります。)価格はお店や買う量によって違いますが大体一つ当たり200円~300円台です。
これ1食あたりでカロリー377kcal、たんぱく6.9gと非常食としてはなかなか優秀な栄養価だと思います。本来は1日に体重1㎏あたり1gのたんぱく質の摂取が理想的なので、贅沢をいえばこれにあとたんぱく質10g分くらい補食したいところですが緊急時の非常食と考えれば妥当でしょう。
また一袋の重量は実測で116gです。乾燥した形態なので軽量です。大量に保管したり登山やキャンプなどで利用する際もこの軽さはメリットになります。
実際の作り方を解説
スプーンと乾燥剤に注意!
まず作る際に注意してほしいのは中に入っているスプーンと乾燥剤の存在です。これは中の米に埋まって見えないことがありますので掘り起こして必ず取り出してください。気付かずにお湯を入れてしまうとスプーンはともかく乾燥剤が入っていると台無しになります。
中をのぞくとこんな感じです。注水線が矢印の下にありますのでここまで水またはお湯を注ぎます。この米の下にスプーンと乾燥剤が完全に埋もれていることがありますので気を付けてください。
湯を注ぐ
まず注水線まで沸騰した湯を注ぎます。約160mlです。米の硬さは好みですが、量が少ないと米が戻りきらずぼそぼそになります。個人的には線を少し超えてしまってもいいくらいです。
お湯を入れたら素早くかき混ぜてください。まんべんなく全体をかき混ぜたら袋のチャックを閉めます。
15~20分待つ
ここから約15~20分待ちます。メーカーの作り方表示では15分となっておりますがそれぞれの好みの硬さに微調整する必要があります。また外気温や注いだ湯の温度によっても時間は変わります。
※途中一度かき混ぜる
これは必須ではありませんが、僕は10分くらい経った時に一度チャックを空けて素早くかき混ぜてまた閉じます。ムラができにくいように行っていますが、これをやらなくても完成はします。あくまで経験上僕がやっているだけでメーカーの推奨ではありませんのでこの工程は飛ばして構いません。
微調整して完成
15分経ったら袋の口を空けて試食してください。まだ硬いと思ったらまた袋を閉じて1分待って試食。そうやって時間調整して自分がちょうどよく感じたら完成です。必ずこの微調整を行ってください。試食せずに15分経ったからと言って器に出してしまっていざ食べてみたら「失敗!」ということは多々あります。よくレビューで「こんなの食べれたもんじゃない」と酷評している方はおそらくメーカーの説明通りの時間で作ってみて失敗したケースだと思われます。
水でも調理可能
非常時でお湯も沸かせない状態だとしてもこの製品は水で調理可能です。ただ水の場合は大体60分から微調整で+αの時間がかかります。時間もかかりますし出来上がりもお湯の方がおいしいので可能ならばお湯で作ることをおすすめします。
※あくまでもアルファ米としての美味しさ
ここで改めて初めて食べる方にお伝えしたいのですが、上記で説明したのはあくまでもアルファ米として失敗せずに食べる方法です。どんなに上手に作っても絶対に普通に炊いたご飯には劣ります。これは絶対です。アルファ米とはそういうものであるということを前提に理解して食べてください。あくまで非常食、保存食であることを理解してください。
この製品を滅茶苦茶に酷評されている方はそれを前提とせず食べて「まずい」と言われている方かもしれません。そのような方は非常食ご飯として選択するならパックご飯の「サトウのごはん」等がおすすめです。殺菌して炊き上げたご飯を窒素充填してパッキングし、酸化防止処理を施してあるため普通に炊いて食べるときと限りなく近いです。
アルファ米とはあくまでも軽量化と長期保存に特化した形態です。保存期間も5年はあります。対してパックご飯の保存期間は6カ月くらいから長くても10カ月程度です。味の違いがあって当然ですのでそれぞれの特性を理解したうえで食べていただくことをおすすめします。
メリット デメリット
メリット
- 長期保存可能(5年)
- 水でも調理可能
- 軽量
- キャンプや登山でも活躍
- ラインナップが豊富
デメリット
- 普通のご飯に比べ確実に味は劣る
- 価格がやや高い(一個あたり200~300円台)
まとめ
今回は尾西食品のアルファ米の失敗しない作り方を紹介させていただきました。まずアルファ米というものを知っていただき、そのうえで少しでもおいしく食べていただくことができたらと思います。
これからまた様々な災害の発生が予想されます。万が一の事態の備えとして、このような非常食、保存食の存在を知っていただければと思います。いざという時の対策として少しでも多くの情報と手段を把握したうえで必要なものを選択し備えてください。自分自身と大切な人を守れるよう、この情報が少しでも役立てれば幸いです。