今回は寝袋やアウトドアジャケットなどに使われる素材の話です。
化繊(化学繊維)とダウンの2種類があり、どちらにもメリット、デメリットがあります。
これに関してはどちらが良い悪いという話ではありません。自分のスタイルに合わせてどちらを選択するかという話です。その参考にしていただければと思います。
ちなみに僕はどちらかといえば化繊派です。
目次
化繊の特徴
独自のインシュレーション(断熱)素材
化繊は文字通り化学繊維で作られた素材です。アウトドア製品の中綿素材として使われるのは主にポリエステルです。そのポリエステルを加工して各メーカーが独自の素材を作り、ダウン素材の代替品として中綿に使用しています。モンベルだと「エクセロフト」パタゴニアは「プルマフィル」ノースフェイスだと「プリマロフト」という素材を使用しています。(プリマロフトに関しては開発はノースフェイスではなく、ALBANYという会社がアメリカ軍の要請により、作ったものです。)
軽さと保温性はダウンに勝てない
近年ではメーカーの開発技術の発展により、かなり品質の高い素材が作られており、かなり軽量で保温性も高いです。それでも絶対的な軽さ、保温性についてはまだダウンには劣っているのが現状です。
ダウンと同等の保温性を求めるとかなり容量が大きく、重くなります。衣類だとまだましですが寝袋となるとかなりごついです。僕が普段冬に使用している寝袋がモンベルのバロウバッグ#0というやつですが氷点下での使用も考慮して作られているためびっくりするくらいでかいです。これ一つで大きめのバックパック一個潰れます。僕が冬場にバックパック一つでキャンプに行くのが不可能な理由がここにあります。
価格が安い
同程度の保温力の製品で比べるとダウンより低価格になります。上の画像のバロウバッグ#0は購入時2万くらいでしたが同じスペックでダウンになると倍以上の価格でした。その代わり大きさは半分くらいになります。ウェアに関しても同様にダウン素材よりは比較的安価になります。
水に強く丈夫
化繊の一番の強みは”水に強い”ことです。アウトドアでは雨や結露など衣類や寝袋が水に濡れてしまう場面が多々あります。化繊は多少の水濡れでも保温力を維持できるし乾燥も早いです。洗濯などもダウンほど気を使うことなく、大抵のものは普通に洗濯機に突っ込んで洗えます。基本的にダウンより丈夫なため少しくらい枝に引っ掛けても、破れて中綿が出てきたりなんてことはほとんどないです。
ダウンの特徴
フィルパワー
聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、ダウン製品を選ぶ際、フィルパワー(FP)というダウンの質を表す単位があり、それを基準に良質かどうかを判断します。
計算式は羽毛1オンス(28.4g)あたり何立法インチ(2.54cm立法)の膨らみがあるかということです。
600FPの場合は使用されている羽毛1オンス(28.4g)が600立方インチの膨らみを持っているということです。”保温力=いかに空気の層を作るか”ということなのでこの数値が高ければ高いほど少しの量で大きな保温力を得ることができます。現在アウトドア用のダウンジャケットで高スペックなものだと1000FPものが各メーカーより販売されています。高い保温性能と驚くほどの軽さを両立させた非常に優秀なウェアです。
品質を判断する場合、基本的に600FP以上は良質なダウンだと思っていいです。デザインも重要ですが、購入する場合の判断基準としてFP値のことを頭に入れておくといいです。
軽さと保温性に長ける
上記フィルパワーの欄でも書きましたが、ダウンの真骨頂はやはり軽さと、高い保温性です。良質なダウンは少量で大きな膨らみを持っていますので、当然収納時はより小さくなります。
僕が冬季キャンプでインナーダウンとして使っているモンベルのEXライトダウン(今は廃盤のようです)は900FPのスペックで保温性もかなり高いですが収納はコンパクトで携帯に便利です。いざという時のための予備としてバックパックに入れておいても、場所を取らず軽いので重宝しています。またこれを買ったのは5年前くらいで、当時セールで12000円くらいの破格で入手しましたが今ならおそらく倍以上の価格になると思います。ちなみに画像左はモンベルのU.Lサーマラップジャケットという化繊ウェアです。容量はグリーンの900FPダウンより大きいですが温かさはかなり劣ります。
価格が高い
これは説明不要かと思いますが、ダウンは高いです。化繊より確実に高い。
あと必ずしもダウンジャケットの価格が高いほど、性能が良いわけではないので注意してください。上記の”フィルパワー”で書いたように、たとえば高いジャケットでも500FPのダウンであればそこまで高品質とは言えません。その場合はデザインやブランドの名前で高いだけだと思ってください。
ぶっちゃけハイブランドのダウンジャケットで軽く10万を超えるものがあったりしますが、実際10万も出せば南極に行けるくらいのダウンジャケットが買えてしまいます。ダウン製品を買う際は失敗しないようしっかりと考慮したうえで購入してください。
水に弱い
これがダウンの一番のデメリットになります。ダウンは水にぬれるとその特性である膨らみが減少し、それは同時に空気の層が減少することを意味しますので保温性能が低下します。化繊でも濡れれば保温性能は落ちますがダウンに比べ通気性が高く乾燥も早いため、やはりダウンのほうが不利です。
水濡れ以外では羽毛抜けもよくある問題です。最近は抜け防止で様々な加工がしてありますが、現状では経験上どんなダウンも完全に抜けを防ぐことは難しいと思います。動いていればどうしても少しは抜けます。
まとめ
冒頭に僕は化繊派だと書きました。それは根っこが貧乏性のためどうしてもダウンは気を使ってしまい、気持ちとして着心地が悪いからです。おそらくほとんどの人には共感は得られないでしょう。基本的にはダウンのほうがメリットが多いですから。それでも化繊のほうが雑に扱えるし汚れたら洗えばいいし、心の奥底でそう思っているので着ていてリラックスできるのです。シュラフ(寝袋)に関しても同様です。
化繊派とはいえ厳冬期ではどうしてもダウンを使用しなければならず、そのため何着か所有してはおりますが着ているときはどこかリラックスできていないと自覚しています。開発技術がさらに向上し、化繊の性能がダウンと同等かそれ以上になる日がくれば僕は完全な化繊派になると思います。
さあ、みなさんはどっち派でしょうか??